あの頃のオレPartⅢ
数年前のこと
仕事で遅くなったオレは、ギリギリで終電のドアに飛び込んだ。
終電には珍しく比較的空いていたのだが、それも2つほど駅を過ぎた頃には、身動き取れないほどになっていた。
オレは押されるままにシート前に移動し、目の前につり革に掴まってしばらく揺られていた。
ふと後ろを見ると、ちょっと小柄な女性が背伸びするようにつり革に掴まっていた。
車両の真ん中辺りにある、進行方向と垂直に交差するつり革は、シートの前に並ぶつり革よりも高い位置についている。
一生懸命捕まっている女性がなんとなくかわいそうになり、
「場所変わろうか?」
と声をかけた。
彼女はうれしそうにうなづいた。
学生だろうか。
1ヶ月ほどしたある日、朝の電車に乗ると、1人の女性が目の前のつり革に手を伸ばし、こちらを見てにっこり笑った。
あの子だ。
あの時は顔を憶えていなかったが、多分間違いない。
今朝の電車は空いている。
が、オレは掴まっていたつり革から手を離した・・・
あれから何年か経つ。
会社の時間帯が変わり、いつも乗る電車が変わってしまったが、あの子はどうしているだろうか。
あの時学生だったなら、今頃は社会人かな・・・
仕事で遅くなったオレは、ギリギリで終電のドアに飛び込んだ。
終電には珍しく比較的空いていたのだが、それも2つほど駅を過ぎた頃には、身動き取れないほどになっていた。
オレは押されるままにシート前に移動し、目の前につり革に掴まってしばらく揺られていた。
ふと後ろを見ると、ちょっと小柄な女性が背伸びするようにつり革に掴まっていた。
車両の真ん中辺りにある、進行方向と垂直に交差するつり革は、シートの前に並ぶつり革よりも高い位置についている。
一生懸命捕まっている女性がなんとなくかわいそうになり、
「場所変わろうか?」
と声をかけた。
彼女はうれしそうにうなづいた。
学生だろうか。
1ヶ月ほどしたある日、朝の電車に乗ると、1人の女性が目の前のつり革に手を伸ばし、こちらを見てにっこり笑った。
あの子だ。
あの時は顔を憶えていなかったが、多分間違いない。
今朝の電車は空いている。
が、オレは掴まっていたつり革から手を離した・・・
あれから何年か経つ。
会社の時間帯が変わり、いつも乗る電車が変わってしまったが、あの子はどうしているだろうか。
あの時学生だったなら、今頃は社会人かな・・・