あの頃のオレPartⅣ
小学生の頃、家の近所に自動車の整備工場があった。
その工場の道路を挟んだ向かい側には、スクラップ寸前の壊れた自動車がたくさん置かれていた。
そこは本来立ち入り禁止で、フェンスに囲まれていたのだが、小学生にはそんなものをよじ登るのは訳なく、オレ達には格好の遊び場になっていた。
ある日のこと、いつものようにそこで遊んでいると、偶然ドアが開き中に入れる車を見つけた。
友達の1人が早速中に入ってみると、そこには「発煙筒」が。
ダッシュボードの中とか下にある、赤い筒状のアレだ。
「あ、オレこれ知ってる。火をつけて合図するヤツだ」
小学生にありがちな半端な知識だ。
「どうやって火をつけるの?」
「ここをキャップでこするって書いてあるよ」
「よし」
「よし」ではない。
そこは小学生。何の躊躇もなく説明の通りに火をつける。
「すげぇ!花火みたいだ!」
しかし、少しすると火よりも煙の量が増えてくる。
なぜなら「発煙」筒だからだ。
花火ではない。
もくもくと煙が出てくるとさすがに怖いもの知らずの小学生もあせりだす。
「やばいよ!」
口ぐちに叫びながら、辺りを見回す。
と、壊れたショベルカーのスコップ?部分に水が溜まっているのを発見。
「アレだ!」
駆け寄って発煙筒を水の中に突っ込む。
煙が止まる。
しかし、ホッとしたのもつかの間、発煙筒からぶくぶくと泡が出てきて、よく見るとまだ火がついているではないか。
さすがに緊急用の発煙筒だ。
おそらく、雨などで消えてしまわないように特別な薬品を使っているのだろう。
「消えねぇ!!」
煙も出てきた。
しかも偶然だと思われるが、遠くで消防車の音がする。
「やべぇ!!!」
もはやパニックである。
「どうする?」
「どうする?」
みんな半泣きになりながら、煙を吐き続ける発煙筒をもって走り回る。
旗から見たら、ある意味祭りにも近い。
オレはとっさに思いついた。
「田んぼへ逃げよう!」
とりあえずその場から逃げたかった。
しかしこのとっさの判断が功を奏する。
スクラップ置き場の裏は水田だった。
この季節、稲は刈り取られた後で水はなく、やわらかい土がむき出しになっている。
それを見てさらにオレは叫ぶ。
「田んぼに埋めちゃえ!」
発煙筒を持っていた友達は、あわてて発煙筒を土に突き刺す。
しかし、突き刺さった土の隙間から、なおも煙が出てくる。
「うわぁっ!」
みんなであわてて発煙筒を蹴りこむ。
ガツガツと蹴りこみ、発煙筒が完全に土の中に埋まったところで、ようやく煙が止まった。
「逃げろ!」
なんともいえない恐怖感におそわれ、全員が同時にその場から逃げ出した。
遠くではまだ消防車の音が鳴っていた。
STAND BY MEを耳にするとなぜかこの事件を思い出す。
その工場の道路を挟んだ向かい側には、スクラップ寸前の壊れた自動車がたくさん置かれていた。
そこは本来立ち入り禁止で、フェンスに囲まれていたのだが、小学生にはそんなものをよじ登るのは訳なく、オレ達には格好の遊び場になっていた。
ある日のこと、いつものようにそこで遊んでいると、偶然ドアが開き中に入れる車を見つけた。
友達の1人が早速中に入ってみると、そこには「発煙筒」が。
ダッシュボードの中とか下にある、赤い筒状のアレだ。
「あ、オレこれ知ってる。火をつけて合図するヤツだ」
小学生にありがちな半端な知識だ。
「どうやって火をつけるの?」
「ここをキャップでこするって書いてあるよ」
「よし」
「よし」ではない。
そこは小学生。何の躊躇もなく説明の通りに火をつける。
「すげぇ!花火みたいだ!」
しかし、少しすると火よりも煙の量が増えてくる。
なぜなら「発煙」筒だからだ。
花火ではない。
もくもくと煙が出てくるとさすがに怖いもの知らずの小学生もあせりだす。
「やばいよ!」
口ぐちに叫びながら、辺りを見回す。
と、壊れたショベルカーのスコップ?部分に水が溜まっているのを発見。
「アレだ!」
駆け寄って発煙筒を水の中に突っ込む。
煙が止まる。
しかし、ホッとしたのもつかの間、発煙筒からぶくぶくと泡が出てきて、よく見るとまだ火がついているではないか。
さすがに緊急用の発煙筒だ。
おそらく、雨などで消えてしまわないように特別な薬品を使っているのだろう。
「消えねぇ!!」
煙も出てきた。
しかも偶然だと思われるが、遠くで消防車の音がする。
「やべぇ!!!」
もはやパニックである。
「どうする?」
「どうする?」
みんな半泣きになりながら、煙を吐き続ける発煙筒をもって走り回る。
旗から見たら、ある意味祭りにも近い。
オレはとっさに思いついた。
「田んぼへ逃げよう!」
とりあえずその場から逃げたかった。
しかしこのとっさの判断が功を奏する。
スクラップ置き場の裏は水田だった。
この季節、稲は刈り取られた後で水はなく、やわらかい土がむき出しになっている。
それを見てさらにオレは叫ぶ。
「田んぼに埋めちゃえ!」
発煙筒を持っていた友達は、あわてて発煙筒を土に突き刺す。
しかし、突き刺さった土の隙間から、なおも煙が出てくる。
「うわぁっ!」
みんなであわてて発煙筒を蹴りこむ。
ガツガツと蹴りこみ、発煙筒が完全に土の中に埋まったところで、ようやく煙が止まった。
「逃げろ!」
なんともいえない恐怖感におそわれ、全員が同時にその場から逃げ出した。
遠くではまだ消防車の音が鳴っていた。
STAND BY MEを耳にするとなぜかこの事件を思い出す。