あの頃のオレPartⅤ-その1-
初めてバイクを手に入れたオレは、うれしくて毎晩走り回っていた。
誰も聞いちゃいないのに「慣らし運転しないとな」などと理由をつけて。
50ccの小さなアメリカンバイクだったが、それでもオレは満足していた。
うれしくて仕方ないので、実家に帰省するとき、そいつで帰ることにした。
片道、約400km。
当然高速道路は使えない。
原チャリにはかなりの長旅だ。
しかも季節は冬。
無謀なチャレンジだったが、若いオレにはそれがとても楽しい挑戦に見えた。
無理やり詰め込んでパンパンになったバッグをバイクの後ろにくくりつけ、同じくパンパンになったリュックを背負い、防寒着でモコモコになって、まるで冬山登山のような格好で家を出た。
朝の5時。
まだ暗い道路をひたすら走る。
事前に箱根は凍っているかもしれないという情報を聞き、国道一号で海沿いを走るルートを選んだ。
最初の難関は東京から出るところだった。
神奈川との間辺りに続いているアップダウンが、荷物満載の原チャリにはとても厳しい。
ギアは1速、アクセル全開。
それでも歩くぐらいの速度しか出ない。
前途は多難だ。
しかし若さゆえか、引き返そうとはまったく思わなかった。
~続く~
誰も聞いちゃいないのに「慣らし運転しないとな」などと理由をつけて。
50ccの小さなアメリカンバイクだったが、それでもオレは満足していた。
うれしくて仕方ないので、実家に帰省するとき、そいつで帰ることにした。
片道、約400km。
当然高速道路は使えない。
原チャリにはかなりの長旅だ。
しかも季節は冬。
無謀なチャレンジだったが、若いオレにはそれがとても楽しい挑戦に見えた。
無理やり詰め込んでパンパンになったバッグをバイクの後ろにくくりつけ、同じくパンパンになったリュックを背負い、防寒着でモコモコになって、まるで冬山登山のような格好で家を出た。
朝の5時。
まだ暗い道路をひたすら走る。
事前に箱根は凍っているかもしれないという情報を聞き、国道一号で海沿いを走るルートを選んだ。
最初の難関は東京から出るところだった。
神奈川との間辺りに続いているアップダウンが、荷物満載の原チャリにはとても厳しい。
ギアは1速、アクセル全開。
それでも歩くぐらいの速度しか出ない。
前途は多難だ。
しかし若さゆえか、引き返そうとはまったく思わなかった。
~続く~