あの頃のオレPartⅤ-その4-

忙しくて間が空いてしまいましたm(_ _)m


ホテルで一泊した翌朝、目を覚ましたオレは、すぐに出発の準備に取り掛かる。
もはや若さゆえの勢いだけである。

ホテルを出発し、国道をひたすら走る。

都心付近では車の交通量は多いものの、ドライバーが皆うまく追い越してくれていたが、
地方ではドライバーが追い越しに慣れていないのか、いつまでも後ろに張り付いたままだったり、
横すれすれで追い越してきたりで、道は空いているものの、気の抜けない道中が続く。

昼飯もほとんど食わず、ひた走る。
計画より大幅に遅れているからだ。

寒さと空腹で眠くなってくる。
ん~さすがに危険だ、と思い、運良く道沿いにあったコンビニで休憩。
コンビにも一度逃すと次はどこにあるか分からない。

一息ついて、また走り出す。
ようやく実家の隣の県に突入!
見知った地名が看板に出てくるだけで、なんだか元気が出てくる。

ここで一旦実家に連絡を入れようと、ポケットから携帯を取り出す・・・通話中になってる・・・
しかも30分も・・・
当時の携帯は折り畳みではなくストレートだったので、どうやらポケットの中でボタンが押されてしまったらしい。
当然通話料定額なんていうサービスは無い時代だ。30分も通話中・・・orz

気を取り直し、実家に電話を入れる。
母親が出たので、到着予想時間と、「熱めのコーヒーと風呂を用意しておいて」と頼んでおいた。
すでに体は冷え切っている。

実家近辺は山が多い。
曲がりくねった峠道を、またしても歩くのと同じぐらいの速度でペケペケと登っていく。
下りはクラッチを切って惰性で走る。
意外とこれが面白くて、気がまぎれた。

連絡を入れてから約3時間、ようやくの思いで、実家に到着。
荷物を急いで外し、「コーヒー!風呂!」と、勢い良く玄関をあける!
「ただいまっ!」

シ~ン・・・

聞こえてないのか?

靴を脱いで、分厚い上着を脱ぎながら家の中へ上がる。
風呂へ入るべく、どんどん服を脱ぎながら居間に行くと・・・

冷めたコーヒーがテーブルの上にポツンと置いてある・・・
カップの下にチラシがはさんであり、こう書かれていた。
「出かけてきます」

まさか!?

寒いのをこらえて慌てて風呂へ行ってみると・・・そこには無情にも空っぽのバスタブ・・・

がっくりとうなだれたあと、ノロノロと風呂の蛇口をひねり、重い足取りで居間に戻ると、どこかに隠れていたのかペットのハスキーが、めんどくさそうにあくびをしながら近寄ってきた・・・



おわり